【田尻語による「桃太郎」】
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田尻語:
むがす、むがす、あるどごさ、おづんつぁんとおばんつぁんがくらすてだんだど。
おづんつぁんは、やまさすばかりぬ、おばんつぁんは、かわさせんたぐぬ、いったんだど。
おばんつぁんが、かわでせんたぐすてだら、かわがみのほうがら、おっきなももが「どんぶらこ、どんぶらこ」ど、ながれできたんだど。
おばんつぁんは「あおらや、なんだっておっきな、ももだべちゃ。」ど、どでんすて、そのもも、うずさもってけぇったんだど。
おづんつぁんがけってきたら、「おづんつぁん、きょう、おっきなもも、ひしょったもんだがら、ふたりで、くぅべちゃ。」、どゆって、おばんつぁんが、ほいじょで、きっぺどすたら、「おほぎゃ、おほぎゃ」ど、もものなががら、げんきなおどごのわらすこが、ではってきたんだど。
おづんつぁんどおばんつぁんは、ももがらうまれだもんだがら、「ももたろう」となづげで、までっこぬ、そだでだんだど。
共通語:
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると川上の方から大きな桃が「どんぶらこ、どんぶらこ」と流れてきました。
お婆さんは「おやまあ、なんと大きな桃でしょう。」とおどろいて、その桃を家に持って帰りました。
お爺さんが帰ってくると、「お爺さん、今日は大きな桃を川で拾ってきたので二人で食べましょう。」と言ってお婆さんが包丁で切ろうとすると、「おぎゃあ、おぎゃあ」と桃の中からとても元気な男の子が出てきました。
お爺さんとお婆さんは、桃から生まれたので「桃太郎」と名づけ、大切に育てました。