凡例・田尻語の主な特徴
【凡 例】
- 語彙集と逆引き
- 語彙集:田尻語を見出し語(「語彙」)とし、その「意味」と語彙の「用例」を示しました。「地区」の欄には当該語彙を主に使用していた地区を示し、㋟は旧田尻地区、㋦は沼部地区、㋔は大貫地区を示します。
- 逆引き:参考に「語彙集」の「逆引き」を作成してみました。標準語で対応しにくいものもあるので、比較的近いものを複数纏めて見出し語としたものもあります。
- アクセントと半濁音表記方法
特徴のある表現の語彙を収集するとともに、話し言葉としての発音の特徴を、次のような表記で、かって話されていた状況にできるだけ近づけることを試みました。- アクセント表記
アクセントを置く文字を太字で表しました。
ex.かき(牡蠣)
ex.すっとんきょう(素頓狂) - 半濁音表記
濁音と半濁音を区別しました。
ex.ながの(長野)→なか゜の
ex.みぎ(右)→みき゜
ex.ひぐれ(日暮)→ひく゜れ
ex.はげ(禿)→はけ゜
ex.ごご(午後)→ごこ゜
- アクセント表記
- 語彙、意味、用例、地区
- 語彙:収集した田尻語の見出し語(Ver.1.0では約900語収容)
- 意味:共通語での表現。複数の語に相当することもあり、一緒にまとめました。
- 用例:当該語彙を用いた会話の例。例文中の「、」は単語の切れを示すためあえて入れたもので、発音の切れを示すものではありません。
- 地区:当該語彙が主に使われている田尻の3地区を表し、㋟は旧田尻、㋦は沼部、㋔は大貫を示します。
- 語の追加、変換、補足
- ( ):先行する語の変化として、先行する語に( )内の語が追加されることがあることを示します。
- 〔 〕:先行する語の変化として、先行する一語または数語を〔 〕内の語で置き換えることもあることを示します。
- < >:補足の記述を表します。
- 見出し語
- 表現は異なるがほぼ同義と思われる語彙は、〔 〕でまとめています。
【田尻語の主な特徴】
語彙編集の過程で気づいた特徴の主なものは、以下のようです。
- 発音上の特徴
- ai→eへのシフト(母音)
ex.旨い、上手い(umai)→うめ(ume)
ex.心配(shinnpai)→すんぺ(sunnpe) - i→uへのシフト(母音)
ex.寿司(sushi)→すす(susu)
ex.足(ashi)→あす(asu)
ex.~したい(shitai)→~すて(sute)
ex.田尻(tajiri)→たずり(tazuri) - k→gへのシフト(子音)
ex.柿(kaki)→かぎ(kagi)
ex.猫(neko)→ねご(nego) - t→dへのシフト(子音) ex.蛍(hotaru)→ほうだる(houdaru) ex.食いたい(kuitai)→くいで(kuide)
- ai→eへのシフト(母音)
- 語尾・接尾語の特徴
田尻語には多様な語尾・接尾語表現があり、会話における微妙なニューアンスを表現している。
ex.語彙集の「~・あ行」の項の中に含まれた「~・・・」の語彙を参照 - 語頭が「ん」で始まる語彙が多い
田尻語には「ん」で始まる語彙が多い。「うん」ではなく明らかに「ん」で始まっています。
ex.語彙集の「わ行・ん」の項を参照 - 心情を表す語彙が多い
一般に方言には多いと思われるが、そのニューアンスを伝えることのできる適当な共通語がないものがかなりあります。
ex.さざほざど→気兼ねなく+穏やかに+親密に+打ち解けて、の様なニューアンスを持ちます。