作句トライ/
たんぽぽの絮よ宇宙の爆発よ
/「宇宙」は地球の遥か彼方ではなく、地球、我々自身などが「宇宙」の一部を形成している。生命科学者(柳澤桂子「生きて死ぬ知恵」)による般若心経の解釈に、以下のような部分があり私も共感できます。
宇宙では形という固定したものはありません。実体がないのです。
宇宙は粒子に満ちています。
粒子は自由に動き回って形を変えてお互いの関係の安定したところで
静止します。
形のあるもの、いいかえれば物質的な存在を私たちは現象としてとらえ
ているのですが、現象というものは時々刻々変化するものであって変化
しない実態というものはありません(色即是空)。
実体がないからこそ形をつくれるのです。
実体がなくて変化するからこそ物質であることができるのです(空即是
色)。
このような視点でたんぽぽの絮(わた)を見ていると、このようにふわふわした頼りない存在でも紛れもなく宇宙の一部であることに違いはない。
よくよく絮を見るとその構造は小さいながらも、なにやら宇宙を想起させる形状をしている。
その構造に一寸息を吹きかけただけで爆発したように飛び散っていき、星が爆発したようだ。
と、大変冗長な思いになりましたが、選者(宇多喜代子先生)の評は、
「たんぽぽの絮が割れ、方々へ飛び去った。いままで球形をなしていたものが割れた。その破裂の様子を大げさに捉えた句」
とバッサリ。恐れ入りました。(NHK俳句2019年6月号入選句)